先日、岩手県立美術館で開催中の「19・20世紀の芸術家とポスター展: 創作において自由なる競創」を観に行きました。
少し前に家族で美術館を訪れた際、この企画展のポスターの中にマリー・ローランサンの作品が含まれていることを発見してその彩りに心奪われ、「これはまた近々来なくては!(絶対に一人で!笑)」とひそかに決心していました。
あと一週間もしないうちに展示が終わってしまうのでこのところずっと機会を狙っていましたが、無事に行くことができて良かったです。
今回の企画展は、美術館の公式サイトによると、
ロートレックやミュシャなどの活躍によって、その隆盛を極めた19世紀から、ピカソやマティスら近代美術の巨匠たちによる展覧会ポスターまで、ポスター芸術の確立とその後の展開を約160点の作品でたどります。
という趣旨によるもの。
展示作品のリストはこちらです。
実際にこれまであちこちの美術展でよくお見かけしてきた画家たちのお名前が続々登場し、「あの人もこの人もこんな広告作品を!」と新鮮で、とても楽しかったです。
そして、この展示物たちが全て石版画だというのだからすごい...。
現代では「ポスター」というと対象物そのものの写真が使われることが多いように思いますが、独創的な画家たちの手にかかるとその視点や描写が魅力的だったり抽象的だったりして、かえってそれが鑑賞者の想像力をかきたてることにつながっているように思われました。
少なくとも私は、展示してある作品たちの広告対象(場所やモノ)について「見てみたい!」「行ってみたい!」と大変興味が湧きました。
中でも面白かったのは、マルセル・デュシャンによる「マン・レイ展」という作品があったこと。
「え!マン・レイ展のポスターなのにマン・レイの作品じゃないの?!ナニゴト?!」と思わず二度見。
デュシャンとマン・レイは盟友といえる関係性だったそうですが、それにしても面白いなぁと思いました。
また、シャルトルの街で開催される美術展のポスターにはシャルトル大聖堂が大きく描かれていて、懐かしさと恋しさで胸がいっぱいになりました。
シャルトルは個人的に大好きな街で、これまでに3回訪れています。
この街のおすすめポイントはと言われれば、有名な「シャルトル大聖堂」に加えて「ピカシェットの家」と「シャルトル・アン・リュミエール」が外せませんが、ふつうに街歩きをしていてもどこもとても美しくて気持ちの潤う場所です。
いつかまた行きたいなぁ...。
他にも、シャガールによるニューヨークのリンカーン・センターにあるメトロポリタン・オペラの開業ポスターや、パリのオペラ座の天井画「夢の花束」の一部分を切り取ったパリ市の観光ポスターなど...作品そのものの美しさに魅せられながら、これまで訪れたことのある場所などはその思い出もあわせて蘇りました。
その他、個人的に今回興味を惹かれたのはジャン・コクトーの作品たち。
ヨットの帆にインパクトのあるお顔が描かれて、思わずドキッとします。
そして赤文字の「monaco」も目立ちますね。
企画展の最後、振り返ると気づくような場所の白い壁にこのヨットの部分を切り抜いた紙が貼ってあり、遊び心のある演出に思わずにっこり。
そしてそのままミュージアムショップに吸い込まれ、まんまと同じ作品のポストカードを買うという…(笑)
リビングの扉にでも貼ってみようかなと目論んでいます。
そしてもう一つポストカードになっていたコクトー作品。
展示室でこの作品を見たときに、「潔い!」と思いました。
カラフルな作品が並ぶ中、色の数が極端に少なく白い部分が多くて、何種類かの水色も明確に線が引かれるのではなく波打ち際のよう。
この他に二つコクトーの作品が展示されていたのですが、「オルフェ展 リュシー・ヴェイユ画廊《竪琴をひくオルフェ》」という作品がとても素敵で心に残っています。
この作品はポストカードにはなっていなかったので残念...。
代わりにといっては何ですが、シャガール《夢の花束》の手鏡を見つけて、こちらをお迎えしました。
最近手鏡難民だったのでちょうど良かったです(笑)
また本物を拝みに行きたいですが、しばらくこちらで我慢。
手持ちの化粧品袋に入れると持ち歩きに便利そうでした。
最近は身体のリハビリを兼ねてなるべくたくさん歩くようにしていますが、その意味でも美術館は良いですね。
すっかり堪能しました!