ロンドン滞在中、私がぜひとも訪れたかった場所が「ホーニマン博物館」です。
大学院時代の素敵な友人(ロンドン在住でご活躍中!)からこの博物館のことを教えていただき、そのおかげで今回行ってみることができました。
予想以上&期待以上に素晴らしい場所でしたので、今回から数回に分けて記録していきます。
あらかじめお断りしておくと、今回はかなり長編記事となります。
でも、写真も動画も多く我ながら力作となりますので、もしよろしければお時間のある時に最後までお付き合いいただけますと嬉しいです!
ホーニマン博物館は、「自然史」、「人類学」、そして「世界中の楽器」と膨大なコレクションを有する素晴らしい施設です。広くて美しい庭園もあります。
ロンドン中心部からは地下鉄で一時間ほどかかる南東エリアにあり、私が見たかぎりでは『地球の歩き方』などのガイドブックにも掲載されておらず、もしかしたら観光地としてはなかなかマイナーな場所かもしれません。
ロンドン市内の他の美術館や博物館と同様に無料で入場可能です。
地下鉄フォレスト・ヒル駅からまっすぐ15~20分程度歩いていくと、ホーニマン博物館が見えてきます。
博物館のすぐ目の前には赤いロンドンバスの停留所がありましたので、バスで行く方法もあるかもしれません。
門を入ったらすぐ右手に印象的な時計塔が見えます。この時点で美しい...!
綺麗にお手入れされた庭園を眺めながら歩いていくと、ミュージアムの入り口に到着します。
時計塔の印象とは対照的に思われるほどモダンな入り口。
ミュージックギャラリー(音楽展示室)に行くためには、階段で地下一階に下ります。
↑こちらは展示室の位置と、室内のおおよその配置を示したmapです。
こちらが音楽展示室の入り口です。
中に入ると...、
どこもかしこも、見渡す限り楽器、楽器、楽器…!
ものすごく広いわけではないのに、これだけあると、どこを見たら良いのかわかりません。
次々と視界に入る楽器に応じて私の知る範囲の知識が脳内を巡り、でもすぐまた違う楽器が目について...その繰り返しです。
全体として、西洋の楽器はもちろんのこと、雅楽やシンセサイザーなどの日本の楽器、アジアの楽器、アフリカの楽器、アメリカの楽器など、文字通り「世界中の」楽器を揃えているところが印象的でした。
よく揃えたなぁ…と感服&眼福です。
とはいえ、あまりの楽器の多さゆえに、ただ展示してあるだけでは一つ一つの楽器単体にはなかなか注意を向けられません。
その点、ホーニマン博物館の展示方法は来場者の興味を惹きつけるよう工夫されていたように思います。
主に三点、少し詳しくご紹介します。
① 展示楽器の音色を聴きながら知識も得られる「サウンド・テーブル」
こちらが「サウンド・テーブル」です。
ガラスケースの前にドーンと置いてあり、ボタンを押して展示されている楽器を選ぶと詳細な情報を読むことができ(もちろん英語ですが)、しばしその音を聴くことができます。
我が子たちも「次はこれ!今度はこれ!」と、飽きずに次々と操作して自ら音を聴いていました。
② 展示楽器に触って音を出すことができる「The Hands on Space」
こちらは、さまざまな楽器を自由に触って体験できる「The Hands on Space」というお部屋です。
音楽展示室内にさらに扉があって、でも誰でも入れるようになっています。
室内には7点ほどの大きな楽器が置いてあり、それらを自由に触れます!
壁には、楽器の名称や奏法についての説明もありました。
せっかくなのでご紹介していきましょう!
ⅰ. ハンマー・ダルシマー
↑の楽器「ハンマー・ダルシマー」の音色は、こちら↓
ⅱ. パドル・パンパイプ
↑こちらの楽器は、調べてみましたが同様のものを見つけられず...。
さまざまな長さの太くて長いパイプの先に金属口がついていて、それぞれの先端を靴底で(!)思い切り叩くと「ドゥ、ドゥ」と低いベース音のような音色が響きました。
ⅲ. クロッキング・フロッグ・ギロ
こちらのカエルさんのギロは民族楽器としてお馴染みでしょうか?
私は手のひらサイズのものしか認識していなかったのですが、ここに展示してあるものはそれより3倍くらい?大きなサイズ感でした。
↑これこれ!こちらの動画を見ると、色々なサイズがあるようですね。
そして、大きさによって音色が全然違う...!
ⅳ. ダラブッカ
↑ダラブッカの演奏動画。
うわぁ...なんと心地良い音!ずっと聴いていられます。
ⅴ. カリンバ
こちらもお馴染みのというか、日本でもかなりポピュラーな存在のカリンバ。
楽器屋さんで入手しやすく、カリンバ用の楽譜集なども出ていますね。
私も木製のものやココナッツでできたものなどいくつか持っていますが、学生たちからも人気があります。
こちらに展示してあるのは結構大きなサイズのものでした。
Hands on Spaceの各楽器のスペースは、↑の画像のように一つ一つ吸音パネルで区切られています。
もちろん他の楽器が鳴らされている時にはその音が聴こえてきますが、それぞれが邪魔にならないように工夫されていると感じました。
ⅵ. バウロン
こちらも、永遠に聴いていたい心地良い音。
なんと多彩な音色でしょうか...。
ⅶ. デジタル・ピアノ
お馴染み、電子ピアノもありました。
空いていたので弾いてみると、多くの方が立ち止まって聴いてくださり、嬉し恥ずかし...でも嬉しい...という気持ちでした。
ここで娘が私と一緒にピアノを弾きたい!と言ってくれて、連弾のようにして娘の弾くちょっとしたメロディーに私が伴奏をつけて遊んでいると、小さなお子様連れのお母様たちがとてもお優しい眼差しで見つめてくださって嬉しかったです。
皆さま随分と温かな反応をしてくださるのだな〜と嬉しくなりました。
ということで、このお部屋、楽しすぎました...!
こうして記事を書いていると、また行きたくてたまりません。
③ 真下にのみ音が聞こえる不思議なスピーカーによる音楽の世界旅行
展示室内を歩いていると、不意に頭上からジャカジャカと素敵な音楽が...!
でも、そのまま歩いていると音は消え、そして少しするとまた違う音楽がシャラリラと聞こえるのです。
そして、それらの音の正体となる演奏風景は、ガラスケースに映像として映し出されており、なおかつ、演奏に用いられている楽器の実物はガラスケース内に鎮座しているという不思議な体験。
気になるのは、いったいその音がどこから来ているの...?ということなのですが、見上げてみてもスピーカーらしきものは見当たらない...が、まさか、これ???
この白い円形の物体がスピーカーなのでしょうか?
数メートルおきにこの物体が配置されていて、そしてその下あたりにそれぞれ異なる映像が流れていました。
果たして、この蛍光灯のようなものが本当にスピーカーだったのでしょうか...?
このすぐ下にいる時にのみ音がリアルにはっきりと聴こえましたので、この真下でのみ威力を発揮する不思議なスピーカーなの???と思いましたが...。
でも、もしかしてそのすぐ近くにあるエアコンの送風口のような長い線が実はスピーカーなのでしょうか...?
とはいえ音はこんなに広範囲には及んでおらず、ともかくこの円形の物体の下でしか聴こえない、次のこの円形の物体の下に行くとまた違う音楽が聞こえてくる、という体験をしました。
それはさながら音楽のみでの世界旅行のようであり、演奏場面の映像とあわせて本当に楽しく、移動するのが惜しまれるほどでした。
おまけ:ミュージアムショップにて
ホーニマン博物館の音楽展示室の充実ぶりについてご紹介してきました。
ウィレムスの音楽教育に出会って以来、さまざまな民族楽器の音色に魅了されている私としては本当に楽しく、実り多き時間でした。
そして、ミュージアムショップがこれまた楽しくて...。
さまざまな雑貨の中、いくつかの民族楽器もありました!
吟味に吟味を重ね、日本まで持ち帰ることも考えてこれだけ入手しました。
でも今思えばもっと連れてくれば良かったです…(笑)
私はいつもこのような楽器をオンラインのショップで購入することが多く、一つ一つの音を聴き比べて選ぶことはできません。
今回こうしてたくさん並んでいる中から選んでみると、かなり個体差があることがわかりました。
余談ですが、私がずっと夢中で色々な楽器を鳴らして選んでいたもので、小さな子どもたちが終始寄ってきて、それぞれご家族におねだりして楽器を買ってもらっている様子も見られました。
当日の売り上げにはそこそこ貢献したのではないかと思います(笑)